コーヒーが酸化する原因【3つの劣化】
一般的にコーヒーの「酸化」と思われているものには、2つあります。また、酸化ではありませんが、「ガスの消失」もコーヒーの味わいに大きな影響を与える要因です。
ステイリング
一般的にコーヒーの酸化として捉えられている「ステイリング」は、厳密には酸化ではありません。しかし、pH値の低下をもたらすため、コーヒーの酸っぱさに起因します。
ステイリングとは、焙煎したコーヒー豆に含まれるクロロゲン酸ラクトンやキナ酸ラクトンが吸水し、クロロゲン酸やキナ酸に戻る反応です。クロロゲン酸やキナ酸は、コーヒーの酸っぱさの要因なので、ステイリングによってコーヒーが酸っぱくなってしまいます。
酸敗(空気酸化)
コーヒーの酸化といわれるのは、この「酸敗(空気酸化)」のことです。酸敗という反応では、油脂分が空気に触れることで酸化し、pHの低下をもたらして酸っぱくなります。
コーヒーにも油脂分が含まれるため、酸敗の影響を受けて酸っぱくなってしまいます。特に温度の高いところでは反応が進みやすいです。しかし、酸敗による味わいの変化には7〜8週間かかるため、ステイリングほどの影響はありません。
ガスの消失
酸化とは直接的な関係はありませんが、コーヒーの味わいに大きな影響を与える「ガスの消失」を紹介しておきます。コーヒーは香りを楽しむ飲み物といわれるように、コーヒーの味わい全体に占める「香り」の比重は高いです。
焙煎したコーヒー豆にはガスが含まれますが、焙煎から時間が経つとガスが抜けていきます。このときにコーヒーの香りも同時に消失してしまうため、焙煎から時間が経つと凡庸な味わいになってしまうのです。
コーヒーの酸化を防止する3つの方法
酸化について理解していただいたところで、どうすれば酸化を防止できるのかを紹介します。以下の3つのポイントに気を付けて、コーヒーのおいしさを保ちましょう。
焙煎したての「豆」を買う
1番のポイントは、焙煎したての「豆」を買うということです。コーヒーの酸化(ガスの消失)は、焙煎から時間が経つにつれて進行します。つまり、焙煎したてが最も酸化が進んでいない状態だということです。
また、「豆」で買うことも重要です。粉に挽いてしまうとコーヒーの表面積が増えて、空気・水分に触れやすくなります。空気・水分に触れると酸化が進行してしまうため、豆のままで買って保存するのがおすすめです。
適切な方法で保存する
購入したコーヒー豆(粉)は、適切な方法で保存しましょう。適切な保存方法とは、具体的には「空気」「水分」「日光」を避けることです。気密性の高い容器に入れて、高温多湿を避けて、冷暗所で保存するようにします。
コーヒー豆の保存方法については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。
淹れたてのコーヒーを飲む
コーヒーは豆や粉の状態のときだけでなく、抽出して液体になった後も酸化します。したがって、淹れたコーヒーは酸化が進んでしまう前に飲み切るのが1番おいしいです。
ただ、マイボトルなどにコーヒーを入れて持ち歩きたい方も多いでしょう。そういった場合には、「水出しコーヒー」を作ることをおすすめします。なぜなら、水出しコーヒーは熱を加えずに作るため、時間が経っても酸化しにくいからです。
まとめ:コーヒーの酸化を理解しておいしく飲もう
今回は、コーヒーが酸化する原因を科学的な視点から解説しました。
本記事の要点は、以下のとおりです。
● 一般にコーヒーの酸化といわれるものには、「ステイリング」と「酸敗」がある
● 酸化とは直接的な関係はないが、「ガスの消失」もコーヒーに与える影響が大きい
● 焙煎したての「豆」を買い、保存方法に気を付けて、淹れたてで飲むのがおすすめ
この記事を参考にして、コーヒーが酸化する原因を理解した上で、酸化を防止する具体的な方法を実践してみてくださいね。
今野直倫
放浪のバリスタ兼WEBライター。
JSFCAコーヒーソムリエ・食品衛生責任者・飲食営業許可取得。
全国各地でカフェを開催。
自家焙煎のコーヒーを焼きたて、挽きたて、淹れたてにこだわって、
お客さんの目の前で一杯一杯ハンドドリップ抽出。
コーヒーの知見を活かしてWEBライターとしても活動中。
自家焙煎やお家カフェの楽しみ方や、役に立つコーヒーの知識をお届けします。